FMチューナ

更新:2008/06/04, 2008/06/22, 2008/07/06,2008/07/22, 2008/08/02, 2008/09/07, 2008/09/15, 2008/11/29, 2008/12/21, 2009/03/07, 2009/03/22, 2009/04/05, 2009/04/25


作例調査

使えそうな?IC/作例
TA8122東芝ステレオ。ネット上に作例あり。ピン間隔=1.78mmで小さい。 作例1作例2(FM"放送"の受信機ではない)、 作例3作例4
TA7792東芝モノラル。ステレオ対応にはTA7766を併用。TA7766を買える通販サイトが見つからない。ネット上に作例あり。 作例1作例2作例3
TA7358/TA7303/TA7343東芝FE部に7358,IF部に7303,MPX部に7343を使う例が「高周波回路の設計・製作」(鈴木憲次著、CQ出版、1992年)にある。その他、 作例1
TA7103東芝FE部をディスクリート部品で作成し、IF部にTA7103を使う例が「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」(鈴木憲次著、CQ出版、1999年)にある。モノラル。
LA1800三洋モノラル。"FMラジオ用"のICか。ネット上に作例あり。AMだけの作例もあるが、FMの作例としては 作例1作例2(LA1800を使っている100円ラジオを改造している。しかもそのLA1800は24ピン?)
LA1800を使ったFMラジオキットもあるようだ。ELEKITFMらじおくん[FMラジオ] (TK-734)。(ELEKITのサイト自体は使用ICを明記していませんが、他の人の製作記からの情報)
作例3 (「エレ工房 さくらい」の「秘密の実験」の中 08/11/29追加)
自己作例1(失敗)自己作例2(成功)
LA1845三洋ステレオ。扱っている通販サイトはあるが、作例は見あたらない。
TDA7000フィリップスモノラル。ネット上に作例あり。 作例1
自己作例
「トランジスタ技術SPECIAL No.46」(CQ出版)にも事例があるようだが、この本は残念ながら絶版になっている。
アマチュア無線関係のサイトも高周波回路の扱いなどで参考になる。
更新:2008/06/04, 2008/06/22, 2008/07/06, 2009/04/05

試作

仕様

  • 試作の目的は高級な機能はとりあえず置いてまずはTA8122ANが使えることを確認すること。
  • よって同調はバリコンで行う。

回路

左図。 高周波部分は電子マスカットさんの「FMラジオ(TA7792の作例3)」を参考にし、復調部分以降はデータシートの「測定回路 1」やELECTRONICS SHELVESさんの「PICマイコンを使ったPLL方式ステレオFMラジオ」を参考にした。

製作

製作過程は別ページ

結果

PCのUSBから電源供給、出力をPCのサウンド入力につないで、イヤホンで聴いてみる。(左写真)(注5)
  • チューニングつまみにボディエフェクトがあって、チューニングにかなり微妙な操作が必要。
  • ぴったり合えば良い音で聞こえる
  • ステレオ復調もうまくいっている。
  • 当地の主なFM局のうち、NHK岐阜(83.6)、NHK名古屋(82.5)、FM-AICHI(80.7)、ZIP-FM(77.8)の受信を確認したが、岐阜FM(80.0)、RADIO-i(79.5)については未確認(注1)。
    その後 RADIO-i の受信を確認したが雑音がちである(08/06/29)。
  • 10〜20分ぐらいで同調のずれが目立ってくる(注4)。
課題
  1. チューニング時のボディエフェクト
  2. チューニングの精度向上
  3. RADIO-iなどきれいに聞こえない局の改善


更新:2008/06/22

改造1

実験

  • バリコンの軸に外径8mm、内径6mmのアクリルパイプと6mm径のアルミ棒をつないでツマミを付けてみた(注2)。これでボディエフェクトは大幅に改善した。
  • TA8122の21番ピンから1pFのコンデンサを介してOSC信号を取り出し、「組み込みプログラム研究1(デジタルクロック試作)」のボードで周波数表示させてみた。が、誤差がかなりある。(写真は97.0MHzを表示。注3)

回路修正1

[1] OSC信号取り出しのため1pFのコンデンサ追加
[2] プリアンプの追加 (RF入力部の既存のFCZ07S144の二次側に2SK241GRを追加。追加したコイルは空芯、10mm径、10mm長、5回巻き、3回巻きのところにアンテナ用のタップ。)
[3] ボード上の電源入力位置の変更 (ケース内の電源ラインの引き回しを最短にするため)

製作

製作過程は別ページ

結果

  • プリアンプの効果なのか岐阜FMが実用的な音質で受信できるようになった。
  • ケースのふたをしっかりとGNDに接続したところ、ふたを閉じた状態ではほとんど受信できなくなった。追加したコイルとケースとの相互作用だろうか? 左の写真の状態がもっとも安定して受信できる。
  • 色々試してわかったことはアンテナ(注6)の引き回しによって受信できていた局も受信できなくなったり、ある局だけ非常に安定して受信できるようになったりすること。従って上に書いたプリアンプの効果も本当に効果かどうか疑わしい。(注7)
  • OSC信号をオシロスコープで見ると依然としてきれいな波形ではないので、周波数カウントはまだ無理かもしれない。(注8)

結果2

上のように書いて以後もいろいろ試した結果、状況は少し変わった。2008/07/15現在の状況は
  • 受信状態は、アンテナの向き、時刻、ケースのふたを開けた状態か閉めた状態か、運(ジャストなチューニングにたどり着くには運もある)、などいろいろな要因に左右される。
  • 現時点で実用的な音質に簡単にたどり着けるのはNHK岐阜だけになってしまった。
  • 総じて安定度はプリアンプ追加前の方が良かったか。
  • ボディエフェクト対処のためバリコンの軸にアクリルパイプを接着剤でつないでいたが、少し空回りする箇所ができてきた。


更新:2008/06/23, 2008/07/06, 2008/07/13

改造2

回路修正2

  • 改造1で追加したプリアンプを外す。(やはり取って付けたような回路では駄目だった)
  • ケースを作り直す。
  • STEREO LEDを前面パネルに出す。
  • ボディエフェクトを避けるためバリコンをケース内部に配置し、延長軸をタイトカップリングでつなぐ。
一応回路図を清書した(08/08/03)。

結果

  • 実用レベルで受信を確認できた局は、NHK岐阜(83.6)、FM AICHI(80.7)、岐阜FM(80.0)、ZIP-FM(77.8)。これらのうち受信状態がもっとも良いのは岐阜FM(注10)、良くないのはZIP-FM。(注9)(注11)
  • チューニングに根気(と運)が必要なことは変わらない。(と書いたが、それほどでもない)
このFMチューナはとりあえずこれで完成とする。
と書いたが、その後バリコンの軸の延長をアルミ棒からアクリル棒に変更した。(2008/08/02)
さらに+5V電源を取り出せるように背面パネルにDCジャックを追加した。(2008/09/06)
なお、これ以後もプリアンプを外付けで追加して改良することを別ページで続けている。
プリアンプを併用することでNHK、FM AICHI、岐阜FMは上質の受信ができるので、日常的にこのFMチューナでFMを聴いている。(08/11/29)
...のだったが、TDA7000によるFMラジオを製作してからはそちらで聴くことが多くなった。モノラルではあるが感度・安定度が良い。(09/02/28)
両者の大きな違いはステレオかモノラルかだが...。

結果2

このチューナは自宅1階のパソコンルームで使うことを念頭に製作&テストを1階で行ってきたが、実験的に2階で使ってみた。(ノートPCはチューナの電源用、チューナの上にあるのはプリアンプ
  • RADIO i が結構良好に受信できる。
  • コミュニティFM局の「FMわっち」(78.5MHz、20W、岐阜市)までが良好に受信できたのは予想外であった。
(2008/09/15)

改造3

回路修正3

  • モノラル化改造を行った。ステレオ−モノラル切り替えスイッチをケースに取り付けるのが面倒なので、ボード上でTA8122の17番ピンをVCCに直結してしまった。

結果3

予想通り(?)感度・安定度ともに向上した。ただしチューニングはまだ微妙で、ぴったり合わせるのに苦労する。

ここまで 09/03/07

モノラルアンプ付加

TA7368(東芝)で簡単にモノラルアンプを付けた。現在、この状態でFMを聴いている。(09/03/22)


更新:2009/03/07, 2009/03/22

改造4

今後

日常的にFM放送を聴く手段としてはこのFMチューナは"リタイア"することにしたので、今後はこれを使っていろいろと実験してみる。せっかく外観がきれいに加工できたのですが。

回路修正4A

  • OSC部分に可変容量ダイオード1SV147を使ってみる。FCZコイルではうまく適合しないかもしれないので空芯コイルを使った。1SV147に使う電圧も5Vでは足りないかもしれないので、ここだけ9Vの電池を使う。(可変容量ダイオードの使い方はこれでよいのだろうか(汗)。)
  • 電源スイッチを付ける。2回路のスイッチを使い、一つはOSC回路用。
  • ステレオ/モノラル切り替えスイッチを付ける。

実験1 (1SV147+空芯コイル)

コイルは10mm径で5回巻きと6回巻きを作成し、長さを調整した。 最終的には5回巻き、長さ10mm程度でFM放送帯が受信できるようになった。
OSC部分の配線が長いし、"デュアル電源"が不細工だが。

実験2 (1SV147+07S144)

FCZコイルが使えないか試してみた。07S144でコアをかなり抜いた状態ならばFM放送帯をカバーできることが分かった。
07S144コイルならば以前バリコンとともに使っていたものがメインボード上に残っているので、それを使うことができそうである。配線の短縮の点でも良いですし。

回路修正4B

そのように修正した回路。

製作

依然として"デュアル電源"だがケース内はすっきりした。

結果

改造3で一度モノラル固定してしまったが、ここでステレオが復活した。
  • バリコンのときとくらべて感度などの変化は感じない。
  • 安定度はすこし良くなった。とはいえ、こまめなチューニング調整が依然として必要。

実験3 (1SV101+07S144)

可変容量ダイオードを1SV101に置き換えてみる。直列に接続するコンデンサは100pFでFM放送帯をカバーできた。

更新:2009/04/25

注1:これら2局はFM-AICHIに近すぎて埋もれてしまっているのかもしれない。後発の2局はこんな周波数しか取れなかったのだろうか。(その後これは誤解であることが分かった。このチューナの選択度で分離は可能。ただ同じ番組を流していることも多く誤認しやすいことはある。岐阜FMは常に良好に受信できている。)戻る

注2:これらは東急ハンズで入手。また、これらをバリコンの軸に固定するには接着剤を使った。戻る

注3:この周波数カウンタプログラムには余り価値が無いと思うのでソースを公開しません。またマイコンボードは周囲に強烈なノイズをばらまくので写真のように周波数カウント中はFM放送をほとんど聞き取れない。戻る

注4:ボード上のLEDの発熱も原因かもしれない。戻る

注5:ここまでコイルのコアなどの調整を全くしていない。(08/07/06)戻る

注6:アンテナはビニールコードを単純にぶら下げているだけ。市販のT型アンテナも買ってみたが垂直部分が2mでは少々足りないので使っていない。(08/07/06)戻る

注7:立地は木造家屋の1階。室内アンテナは窓際が良いとばくぜんと考えていたが、よくよく考えると局方向の窓のアルミサッシは針金がクロスして埋め込まれているタイプで相当電波を遮っていた。窓から遠ざける方向にアンテナを引っ張ったら感度が急激に改善した。(08/07/06)戻る

注8:FMチューナの"次バージョン"ではOSC信号の取得とPrescalerをボード上に最初から組み込んでおきたい。(08/07/06)戻る

注9:RADIO-i が依然として受信困難なのは残念。岐阜新聞のラジオ番組欄にはRADIO-iが無いので岐阜県での受信は想定されていないのか。名古屋の主要FM局はほとんどが出力10kWだが、ここだけ5kWということもあるかもしれない。(08/07/22)戻る

注10:試作のときのテストで岐阜FMを受信できなかったのはなぜか? 注7にあるようなアンテナの引き回しがまずかったことによる見落としかもしれない。戻る

注11:アンテナは単純なビニールケーブルの引き回し。戻る

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